板倉酒造 / 島根県出雲市
品目: 日本酒
原材料名: 米(国産)、米麹(国産米)
原料米: 奥出雲産改良雄町100%
精米歩合: 50%
アルコール分: 16度
酵母: 協会7号
酒母: 生酛仕込み
火入れ: 1回
酒造年度: R5BY
今季、上山が担当したSAGAになります。
昨季までは山廃でしたが、今季は醸造環境面から乳酸菌と協会七号酵母を添加した現代的生酛造りとなっております。
乳酸菌・協会酵母を添加することで自然醸造に比べて味わいが幾分か単調になるかと思っていましたが、しっかりと複雑味が出ており安堵しました。
七号酵母を添加したとはいえ、酒母室内で直前に使用していたK1酵母などが良い意味で影響してくれたように思います。
現代的生酛造りではあるけれど、環境を整えることで 自然醸造に寄せることも可能であることも確認でき、個人的にはとても有意義な経験となりました。
日本酒変奏曲音楽において、グレン・グールドが奏でた「ゴルドベルグ演奏曲」は同じテーマを繰り返しながらも、演奏のテンポ、タッチ、ニュアンスの違いで新しい世界を紡ぎだす名演でした。
今季のSAGAはそれに倣い、水・米・酵母などの微生物というシンプルなテーマを軸に多彩な変奏を表現できる酒を目指したものです。
グールドがテンポと抑揚で繊細に変奏を繰り広げたように、(小島杜氏の提唱する)山陰吟醸造りという伝統を基にしながら現代的生酛造りという革新の息吹を取り込んだものです。
ここでいうテンポが現代的生酛醸造であり、抑揚の部分が三日麹やもろみ管理にあたるという考えです。
飲むたびに変化のある「変奏曲」のような存在を目指した今季の無窮天穏SAGA。
開栓直後、開栓放置、長期熟成、飲用温度帯の違いなど色々と試して下さい。
あわせて4BYのSAGAとの飲み比べも面白いかと思います。
よろしくお願いいたします。